APACPHとは
APACPHとは:Asia-Pacific Academic Consortium for Public Health (APACPH:アジア太平洋公衆衛生学術連合)は、世界人口の6割を占めるアジア・太平洋地域の人々の健康と福祉を改善することを目的として、公衆衛生学に関する教育水準の向上と研究の推進、そしてエビデンスに基づいた政策とプログラムの実施を促進することをビジョンに抱えている国際的な学術組織です。APACPHは1)アメリカ、2)オーストラリア、3)インドネシア、4)日本、5)韓国、6)マレーシア、7)南アジア、8)台湾、9)タイに9つの地域オフィスが存在し、各地域で公衆衛生学教育の質の向上と統一化、そして各地域に住む人々の健康状態の維持・向上に向けて活動しています。現在、15ヵ国の66教育研究機関が会員機関として参加しており、日本からは本学のほかに東京大学、琉球大学、帝京大学大学院 公衆衛生学研究科、京都大学、聖路加国際大学 公衆衛生大学院が会員となっています。
APACPHは毎年年次総会および学術大会を開催しています。また、Early-Career Networkという若手研究者の会も存在し、国際的な研究者ネットワークの構築にも力を入れています。
APACPHは国際的な公衆衛生学術連合であるGlobal Network for Academic Public Health (GNAPH)を構成している以下の7団体の一つとして、世界全体の人々の健康と福祉の向上に向けた活動を行っています。
・Alianza Latinoamericana de Salud Global (ALASAG)
・Asia-Pacific Academic Consortium for Public Health (APACPH)
・Association of Schools of Public Health in Africa (ASPHA)
・Association of Schools of Public Health in the European Region (ASPHER)
・Association of Schools and Programs of Public Health (ASPPH)
・Council of Academic Public Health Institutions Australasia (CAPHIA)
・South East Asia Public Health Education Institutions Network (SEAPHEIN)
Asia Pacific Journal of Public Health (APJPH)とは

APACPHが毎年6回発行している、アジア太平洋地域における唯一の公衆衛生学術誌です。APJPHはアジア太平洋地域に関連がある公衆衛生およびプライマリーヘルスケアのための専門教育や活動の実用化を含む、公衆衛生学に関連した課題に関する原著論文を掲載しています。APJPHは新興・再興感染症や災害時のマネージメント、また慢性疾患など幅広い内容の論文がこれまでに掲載されています。
2021年の医学系学術誌の四分位カテゴリーではQ2と上位に位置し、2021年の年間インパクトファクター(IF:掲載された論文が年間に引用される回数の平均値)は1.399、5年間IFは1.874、掲載された論文の被引用数から算出されるHインデックスは37となっています(37回以上引用されている掲載論文が37編以上あることを意味します)。
栄養科学研究所の活動が掲載されました
1990年10月に設立された栄養科学研究所は2020年に30周年を迎え、前身である香川研究所が設立された1936年から数えると、2021年に85周年を迎えました。この節目を記念して栄養科学研究所が行ってきた研究活動および社会貢献の内容をまとめた下記の論文が、2022年34号1巻に掲載されました。
The Roles Played by the Institute of Nutrition Sciences, Kagawa Nutrition University on National Nutritional Crises in Japan
(日本における国家的栄養危機に女子栄養大学栄養科学研究所が果たした役割)
Yasuo Kagawa, MD, PhD, Masaharu Kagawa, PhD, Colin Binns, MD, PhD
https://doi.org/10.1177/10105395211053513
この論文を通じて、栄養科学研究所および女子栄養大学のこれまでの研究活動と社会貢献が国内のみならず海外でも広く認知されることを願っています。
女子栄養大学とのかかわり
本学は2000年にAPACPHに加入しました。2003年から研究所長である香川靖雄女子栄養大学副学長が本学代表者となられ、年次総会・学術大会に出席されるようになりました。
2007年には香川靖雄所長が国内組織委員長を務め、本学で“Lifestyle Related Disease Prevention: The Challenge for Nutrition and Public Health”をテーマにした、the 39th APACPH Conferenceが11月21-25日の日程で開催されました。学会には500名を超える参加者があり、盛況のうちに終えることができました。
2013年からは栄養科学研究所が学園全体のAPACPH関連業務を所管しており、香川雅春副所長が窓口となり年次総会・学術大会に出席し、定期的に研究成果の発表と国際的なネットワークの構築と連携を行っています。現在、本学は海外の7大学と包括的学術連携の覚書(MoU)を結んでいますが、そのうち4大学はAPACPHの会員であることから、APACPHでの活動は本学における国際交流活動の基盤となっています。これらAPACPHの会員校との連携活動と、それを通じた多くの方々との繋がりを通じて相互的な信頼関係を構築し、本学の学生に向けた教育に還元しています。
APACPHとの連携を活かした履修科目
・海外スポーツ栄養体験実習:オーストラリア・ブリスベンに約10日間滞在し、本学提携校であるクイーンズランド工科大学(Queensland University of Technology: QUT)を拠点にオーストラリアのスポーツ栄養の実際についてスポーツ栄養士や研究者による講義と施設見学を行う海外研修型の実習です。
・共通特論ⅩⅡ(オーストラリア栄養学研修):オーストラリア・パースにあるカーティン大学(Curtin University)を拠点に約10日間滞在し、公衆栄養や臨床栄養など幅広い領域の栄養学を学びながら、多民族社会における栄養学・国際的な栄養学を体験する海外研修です。
・共通特論ⅩⅥ(栄養学の背景に関する英語による講義):解剖学や生理学、医療や環境など食と栄養を扱う栄養学領域で必要となる幅広い専門用語を学び、英語に触れて慣れていくことで、将来国際的な視野で活躍できる準備をすることを目的とした科目です。この科目はオムニバス形式で実施しており、各回で異なる専門の先生に英語および英語を交えた講義がされています。この科目では、提携校であるマレーシア国立大学(マレーシア)マヒドン大学(タイ)、カーティン大学(オーストラリア)をはじめとする複数の海外教育研究機関の先生方にオンラインで講義をしていただいたり、提携校の学生とのディスカッションが実施されてきました。
