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活動・業績報告

井上円客員研究員の活動紹介

井上円客員研究員はオーストラリア、西オーストラリア州の州都パースにあるカーティン大学健康科学部の研究員をされています。井上客員研究員は日本とオーストラリアで看護師の資格を有しており、現在は消化器系(食道、胃、十二指腸、大腸,肝臓、膵臓など)の悪性腫瘍(がん)の早期発見や早期診断につながる実験研究や、罹患率、再発率または治療を終えた後の生存率を予測したりする疫学研究をしています。

研究テーマの一つとして、バレット食道 (Barett’s oesophagus)という食道の病気に関するものがあります。本来、食道は扁平上皮という形の細胞でできています。バレット食道は胃につながる部分 (食道下部)の扁平上皮が円柱上皮という細胞の形に置き換えられる病気です。なぜ、細胞の形が突然変わるのかはまだわかっていません。しかし、バレット食道はその80%が食道がんの発生に関係する細胞を含んでおり、食道がんになるリスクが高い病気としても知られています。現在、バレット食道の予防・治療に有効な薬がまだないため、早期発見、早期治療がとても大切です。

その他にも、いかに胃カメラによる感染リスクや、あるいは胃カメラ中の不快感を少なくするかというテーマでの研究があります。一般的に消化器系の病気は診断や治療に内視鏡(胃カメラ)を使うことが多いのですが、胃カメラを介して感染が生じることがあります。こういった問題を予防する対策について、胃カメラを製造している企業と共同研究を行っています。研究のためには病院に出向いて、患者さんから直接お話しを伺いするだけでなく、研究に必要なデータ解析、また研究論文の執筆も行っています。

井上客員研究員は上記の研究活動以外にも医学部の学部生や大学院生、若い医師達の研究論文や学会発表の指導などをされています。。さらにカーティン大学は栄養大学と長年包括的学術提携を結んでいるため、過去には女子栄養大学の学生に対して講義やカーティン大学訪問時の通訳などにも携われたことがあります。今後の井上客員研究員の研究活動が期待されます。