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活動・業績報告

武智客員研究員の最近の業績

略歴:

武智隆祐先生は兵庫県立大学(兵庫県・姫路市)の環境人間学部で学位を取得後、栄養生化学と生理学の専門で修士課程を修了されました。その後Curtin University(旧Curtin University of Technology、オーストラリア・パース)に留学し、2010年に博士号を取得されました。現在は同大学の研究所であるCurtin Health Innovation Research Instituteにてシニア研究員として研究活動をされています。武智先生は現在血液脳関門の機能保持や回復を通した認知症の予防および治療法を研究テーマとされています。武智先生は、2014年度から女子栄養大学栄養科学研究所の客員研究員として、本学臨床栄養医学研究室教授で栄養科学研究所の付置施設である栄養クリニック所長でもある田中明教授らと共同研究を行う傍ら、兵庫県立大学、University of Western Australia(オーストラリア・パース)、University of Queensland(オーストラリア・ブリスベン)、Baker IDI Institute(オーストラリア・メルボルン)、 University of Alberta (カナダ)、University of Maryland (米国)などとも積極的に共同研究を行い、オーストラリア国内外で活躍されています。

武智先生は、これまでに36報の原著論文をJournal of Nutrition、PLoS One、Journal of Neuroinflammationなどの有名な国際学会誌に発表され、総引用数は400以上、h指標は13と、この分野に大きな影響を与えています。さらにこの功績が認められ、下記リストにある様々な賞を受賞され、これまでに総額2億円を超える研究助成金を獲得されています。

最新の研究トピック:

武智先生は、2015年に日本の独立行政法人日本学術振興会による科学研究費助成事業(科研費)に相当する、豪州の国立保健医療研究審議会(National Health and Medical Research Council:NHMRC)に研究代表者として申請されていた「血液脳関門の機能回復による、糖尿病が引き起こす認知症の改善」をテーマとした研究が採択され、$261,250(およそ2,500万円)の研究助成金を受けられました。この助成金制度は、4,000の応募の中からわずか13%の成功率と、非常に厳しい競争率であることが知られています。糖尿病は認知症の発症率を3倍増加させるという報告がありますが、その詳細なメカニズムはわかっていません。近年の研究で、血液脳関門が損傷を受けると、血液中の脳細胞に対して有害な分子が脳内に流入し、炎症や酸化ストレスを引き起こして神経細胞を死滅させ、結果的に認知症を引き起こすことがわかってきました。これまでに糖尿病において血液脳関門が損傷を受けるという報告は数件ありますが、いずれも認知症や脳機能との関連性は考慮されていません。そこで本研究では、幾つかの抗炎症機能がある薬剤や機能性食品を用いて、糖尿病によって欠損した血液脳関門の機能を回復させることにより、認知障害が改善するかどうかを調査することを目的としています。本研究から糖尿病患者における認知症の発症予防や、症状の改善に大きく貢献することが期待されています。

受賞歴:

2016-2019  Curtinシニア研究員 $478,366
2016-2018  NHMRC 研究助成金 $261,250 (研究代表者)
2014     NHMRC Marshall and Warren Award
2014-2016  NHMRC 研究助成金 $445,206 (研究分担者)
2014-2015  西豪州保健局New Independent Researcher Infrastructure Support $10,000 (PI)
2014     Curtin研究奨励賞 $5,000
2014     Alzheimer’s Australia 研究助成金 $50,000 (研究代表者)
2014     NHMRC 研究設備助成金 $24,777 (研究代表者)
2013     公衆衛生学部研究助成金 $10,000 (研究代表者)
2013     最優秀若手研究員賞 $5,000
2012-2015  NHMRC 博士研究員 $294,892
2012-2015  Curtin 研究助成金 $91,064 (研究代表者)
2010-2011  Curtin 博士研究員 $76,377
2009-2011  NHMRC 研究助成金 $564,839 (研究協力者)