香川雅春副所長・准教授は、日本で唯一人国際キンアンソロポメトリー推進学会(The International Society for the Advancement of Kinanthropometry: ISAK)から最上位のレベル4の認定を受けている国際的な身体計測技師として、国内外で長年身体計測・体組成測定に関する講演や計測技術の指導を行っています。この度、特定非営利活動法人日本パラ・パワーリフティング連盟(JPPF)からご依頼をいただき、2022年4月2日(土)および3日(日)に合宿が行われていた日本財団パラアリーナでスタッフに向けた身体計測の指導、スタッフと選手に向けた講義、そしてコンディショニングの一環として選手に対する身体計測が実施されました。
計測指導は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する感染予防対策を徹底して行われました。指導では計測に用いる機器の説明から始まり、対象となる選手のコンディショニングに活用できると思われる計測部位の特定の仕方や、実際の計測の手順について紹介されました。一般的に身体計測は立位で行いますが、パラアスリートの中には車いすを利用されている選手が一定の割合でいることを想定し、対象者が座位の姿勢にある状態で計測する手法について紹介がされました。
スタッフと選手に対する講義では、選手自身が自分の身体について関心を持ち、客観的に把握することの重要性、しかし日本では広く知られている「体脂肪率」には振り回されることの危険性について説明がされました。そして皮下脂肪厚など身体計測を活用したコンディショニングの手法について紹介がされました。講義の後の質疑応答では、実際の経験に基づく活発な意見交換がされました。
計測の指導と講義の実施については、日本パラ・パワーリフティング連盟の公式Facebookでもご紹介いただきました。
日本パラ・パワーリフティング連盟Facebook記事:
https://www.facebook.com/jpanparapower/posts/5114609135313824
そして、より科学的根拠に基づいたコンディショニングを実施することを目的として、選手に対して詳細な身体計測を4月2日と3日の両日行われました。今後も定期的に選手の皆さんの計測を行い、パフォーマンスとの関連をモニタリングしていく予定です。また、パラ・パワーリフティング選手に対する身体計測やパフォーマンスに関する研究はこれまで世界的にも報告が無いため、この活動は日本パラ・パワーリフティング連盟および栄養サポートを担当されている株式会社LEOCの担当スタッフとの共同研究として位置づけ、新しい知見については今後学会や学術論文を通して報告をしていく予定です。
パラ・パワーリフティングとは:下肢障がい者と低身長(18歳以上の男性で145 cm以下、女性で140 cm以下)の者が参加できる、ベンチプレス競技。選手の体重によって男女それぞれ10階級に分かれて競う体重階級別競技。1964年の東京オリンピック・パラリンピックで正式種目となった。3回の試技の中で、水平を維持した状態でバーベルを胸まで降ろした後、持ち上げることができた最も重い挙上重量が記録となる。
日本パラ・パワーリフティング連盟HP: https://jppf.jp/