現在、世界では人口増加が進んでおり、2050年には世界人口が97億人、2100年には107億人を超えると予想されています。この人口増加に加えて気候変動の影響により、今後世界中で食糧問題や水不足が重要な健康課題になると考えられています。このような将来的な予測は、2000-2015にミレニアム開発目標(Millenium Development Goals: MDG’s)が、そして2015年からは2030年までに達成することを掲げ、近年メディアでも目にするようになった持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDG’s)が国連で取りまとめられた背景にもなっています。

このような情勢の中、国連農業機関(Food and Agriculture Organization: FAO)は、古くから世界中に食文化として存在する「昆虫食」に注目する報告書を複数回発表しており(FAO, 2013; FAO, 2021)、それ以降「昆虫食」に対する関心が高まっています。

日本でも江戸時代には食材として昆虫が広く用いられており、1919年(大正8年)には55種の昆虫が食用として、123種が薬用として用いられていると報告されています(宮宅、1919)。しかし、現在では国内で昆虫を日常的に食べる地域は限定的となっており、特に若い世代では、昆虫を食べる機会は少なくなっています。同様の状況が海外でも生じており、今後の人口増加に伴い昆虫を食べる機会が増えた際に、実際に食べる可能性が高い若い世代が昆虫食に対して、どのような意識や価値観を持つか不明な状況にあります。

そこで、女子栄養大学栄養科学研究所では、18-30歳の若い世代が昆虫食に対してどのような意識や価値観を持たれているのか、そして昆虫を食べる食文化がありながら、現在は日本と同様に昆虫を食べる機会が限られているマレーシアとの違いを比較し、日本の若者特有の意識や価値観について明らかにすることを目的としたオンラインアンケート調査を行っています。そして現在、この調査にご協力いただける18-30歳の男女の方を募集しています。

ご協力いただける方は、下記URLから調査の説明ページをご覧いただき、その内容にご理解・ご賛同いただけた方は、ぜひオンラインアンケートのページからご回答をお願いいたします。

昆虫の食用利用に対する若年成人の意識と価値観について: 日本とマレーシアの比較調査
説明サイト: https://www.eiyo.ac.jp/ions/?p=5882

ご協力どうぞよろしくお願いいたします。

参考文献:
FAO. 2013. Edible insects. Future prospects for food and feed security. Rome. Available at: https://www.fao.org/3/i3253e/i3253e.pdf
FAO. 2021. Looking at edible insects from a food safety perspective. Rome. Available at: https://www.fao.org/3/cb4094en/cb4094en.pdf
三宅恒方. 1919. 食用及薬用昆虫に関する調査. 農事試驗場特別報告. 31: 1-203. Available at:https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010826248